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2006年12月25日 (月)

設計者がCMを行う

5、設計者がCMを行う

最後の章として設計者が行うCMについて触れたいと思います。前述したように大型プロジェクトの場合設計者がCMRとなることはほとんどありません。あくまでも施主から委託されたCMRが存在して、機能、デザイン、コストなど建設プロジェクト全般を統括します。ですからCMRに要求されるのはプロジェクトの内容をすべて把握しなければいけません。また、プロジェクトそのものの実現性のキーマンとしてあらゆることに精通していなければなりません。ですから大型プロジェクトの場合CMRも組織として機能しなければ個人の力では限界があります。では設計者がCMRとして、建設プロジェクトを統括できるのでしょうか。ここで設計監理業務について触れたいと思います。特に工事監理について建築士法第2条「その者の責任において、工事を設計図書と照合しそれが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう」及び第21条に「建築士は、設計及び工事監理を行う外、建築契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査または鑑定及び建築に関する法令または条例に基づく手続きの代理等の業務を行うことができる。」と規定されている。つまり建築士は設計と工事監理のほかに契約に関する事務、工事の指導監督も行うとなっています。設計者がCMを行うこと、特に完全分離発注型のピュアCM  といわれる方法をやろうとすると、現行法規上疑問がある部分はありますが、ここでは住宅などの小規模工事が中心ですので、法規上の問題点はないものとして進めていきます。CMRは前述のようにプロジェクト全体を統括し、そして施主の思い入れ、をどのように実現させるかは重要な仕事です。ですから設計者がCMRをやることもあながち不自然ではないように考えます。住宅などの設計には施主とのかかわりは、家作りを思い浮かべたときから設計者とかかわりを持つようになります。もちろん一般のハウスメーカーや、工務店で家を建てる場合でも、最初から営業やら設計担当者が施主と係わり合いを持ちます。そしてプロジェクト全体を統括していきます。

しかしここで大きな問題なのは、作り手と施主の代理として品質管理してチェックする側が一緒であるということです。やはりチェックする側が作り手の範疇にいるといいことは、そこのモラルハザードが生まれる種を作っているようなものです。

ここで一番大事なことはあくまでも施工者とCMRは利害を一致させないことが重要です。ですからCMRは施主から第三者として委託を受けたものが行うことが重要です。小規模特に住宅程度で新たにCMRに委託することは、いい方法ですがそれを専門に行っている業種はなく、唯一その任に当たれるのが設計者となるわけです。

ですから設計者は高い倫理観を持ちあくまでも施主から委託を受けた第三者として

作り手に対してマネージメント業務を行うことができるのです。

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2006年12月12日 (火)

CM=分離発注?

  続き

  コンストラクションマネージメントの主な業務のうちコストコントロールについて述べてきましたが、分離発注することとコンストラクションマネージメントとの関係性をここで考えていきたいと思います。私たち設計監理者は本来自分たちで設計した建物が設計図書どおりできているかどうか、確認することも監理と言う業務の中で重要な仕事です。そしてそれが建物の品質を保つ大きな要因です。では設計とは何であるか、以前に書いた論文の中で述べたと思いますが、広辞苑いわく「目的物(ここでは住宅)を具体化する作業で、製作。工事などにあたり、工費・敷地・材料及び構造上の諸点などの計画を立て図面その他の方法で明示すること」とあります。設計の重要な要因の一つに工費など実際に建物を作るために必要な要素をすべて計画しなければなりません。もちろん様々な諸条件、法規的なもの、構造的なもの、敷地の条件など、それぞれの用件を鑑み、要求された内容を満足するように計画し図面化、その他で明示しなければなりません。そして明示された内容と実際現地とが符合しているかどうか、設計の意図が十分反映されているかどうか、チェックをすることも設計という概念の中に入っていると思います。

   現在の建築生産の中で設計者の役割は矢もすると見栄掛かりの部分にとらわれ、実際のディティールコストは施工者に任せきりにしてきたと思います。もちろん複雑な建築プロジェクトの場合、分業化は仕方のないことですが、日本ではそれを分業するのではなく一括してひとつの会社が請け負う場合がほとんどです。一括で行った場合

  の長短は何処にあるのでしょうか。ビルなどプロジェクトが複雑で多数の人材が必要になるケースは又いずれのこととして、住宅建設等比較的少人数で可能なプロジェクトを検討することにします。少人数といっても専門工事の数は一人前にあります。

   では分離発注で行うメリットをいくつか上げて見ましょう。

       施主や設計者の思いを施工者、特に専門職人に直接伝えることができる。

       専門工事の立場から適切なアドバイスを提供できる。

       専門工事業者は施主の顔が見えるので、金額以外のやる気、サービス

誇りある仕事を提供することができる。

       仕事の責任範囲が明確になり、前施工のチェック、後施工への引渡しなど

今まであいまいにされてきた専門工事会社の仕事に責任を持たせることが

できる。

       価格の透明性があり何にどれだけに費用がかかったか明確になる。

等が上げられます。もちろんデメリットはありますが、デメリットよりもメリットのほうが上回っているので、最近では公共工事も分離発注方式でやられるケースも増えてきています。

 そしてコンストラクションマネージメントの立場からも設計品質を的確に施工者に伝えるためにも分離発注方式のほうが直接伝わりやすいのです。

ただ、施主はほとんどの場合建築に関しては素人です。そこで建築生産の管理を行う

立場のCMRという概念が生まれてきたのです。大きなプロジェクトの場合、CMR

は設計とは別に契約を結び、設計、監理もCM対象として扱う項目になっています。

しかし、ここでは小規模工事に絞って論じているので次の章で取り上げる、設計者がCMRを兼任し設計者がCMRとなってプロジェクト全般を統括する方法も、CM方式の活用法のひとつではないかと思います。

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