« 2006年3月 | トップページ | 2006年11月 »

2006年10月18日 (水)

2,デザインとコストの関係(2)

2、  デザインとコストの関係

続き

 これは私が4年前に建てた物件ですが

鉄骨3階建て外壁ALCア100 吹き付け

タイル仕上げです。そこで、はたと困った

ことはALCの場合開口部のサッシはALC

用サッシを溶接で取り付ける場合が普通

です。また住宅用サッシを取り付けようと

した場合どうしても木を廻したりして、

コーキング目地が広くなります。しかし

ALC用サッシには住宅用にあるような

性能を求めようとしても特注で作らなけ

ればならないし、コストは大変高くなり

ます。では住宅用サッシをALCサッシ

のように溶接で取り付けられないか、

メーカーと打ち合わせをしました。そして

東京でそういった事例があると聞き、

資料を取り寄せていろいろメーカーの技術

と検証して、特殊扱いにはなるけれども

住宅用サッシにフラットバーを回りに

取り付けそれをALCの溶接する方法を

考え、そして図面化をして製作、取り付

けにいたりました。出来映えは見事に

ALC外壁に住宅用木造サッシが取り

付けらImage002れています。

これはまさにデザインビルトの典型で

あると思います。設計者自らが、デザ

インと施工方法そしてコストを抑えな

ら設計していく手法そのものです。

これは特殊なケースではなく

あらゆる面でこの感覚が要求されるのが、

デザインビルトでありまたOS設計者に

求められるCMrとしての資質、力量

です。今までですとこのようなデザイン

のサッシをつけたいと考えても、工務店

に相談して、工務店はメーカーに持ち

かけその結果できるがコストがかかると

返され、その反論もできないまま工務店

主導で建物ができていきます。

これではせっかくお客様から求められて

いるデザイン性は満足のいくものには

決してなりません。

私が昔ゼネコンで現場管理をしてい

たとき、大手設計事務所の監理でしたが、

その当時かなりな年配の方でしたが、

いろいろと事ある毎にどのような目的

でこのデザインがされているか、施工

方法はどのようにするか、そして顧客

満足度は100かと日日議論を繰り返して

いました。そのときにこの監理者が

おっしゃっていたことは若い意匠

デザインの設計者は作り方を知らず

に設計している。だから私たち監理

するものがそのデザイン性を熟知し、

いかにして実現するかを研究して、

施工側に的確に伝えることが私の仕事で

あるし、建物を作るということは一つ一つ

のこういった作業の積み重ねにある、

といわれていました。建築士たるもの施工

を知らずして設計するなと口うるさく、

施工者側にもかなり厳しく要求もきました

が、施工の方法答えは常に用意していて

こちらが目的の答えを出してこないと

こうしてやればできると示されたものです。

私も悔しいのでいろいろ研究し、調べこう

したらもっとよくなるはずと提案アイデア

を常に考えさせられたものです。しかし、

この熟練度が品質につながるわけで、建物

の良し悪しは監理するものの力量に左右さ

れることは、間違いのないことだと思います。

そこにもやはりコストを常に意識して、

デザインの目的、美的な要素を熟知して

実現にこぎつける高い技術と、熟練度が

私たち建築士に求められる、社会からの

期待、要請されることなのではないで

しょうか。端にコストダウン手法を真似し

ていくのではなく、建築士としてのデザイン

コストを求めていかなければならないと

思います。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年10月13日 (金)

2,デザインとコストの関係(1)

2、  デザインとコストの関係

前述したようにデザイン性を追及していくことはコスト

密接な関係があると述べました。ではどのような関係

性があるのかをここでは述べて行きたいと思います。

コスト削減の常套手段として、たとえばハウスメーカー

などは、デザインの単純化大量発注が可能な物、色、

形等の種別を少数にするこういったことでコスト削減を

実現してきました。この方法もある種の効果はあると思

いますが、たとえば自動車にしてもコストと多様な消費

者のニーズにどのように対応するかは永遠の課題とし

て、追及し続けています。同じ車種でも何十種類と色、

機能を変えまたオプションも多様に作り販売していま

す。その結果として今日の自動車産業の好調さを裏付

けるように消費者に受け入れられています。

では住宅はどうでしょうか。家はその個人の個性がもっと

顕著に現れるものだと思います。建てる側の思い、夢、

かかわる人々のライフスタイル、そのどれをとっても同じ

ということはありえないと考えなければなりません。まし

て、建築の特性である現地一品生産、土地が無ければ家は

建てられないわけで土地は唯一その場所の存在しほかには

無いということです。

ですから当然その上に建てられる建築物はその土地の持つ

特性に左右させるわけです。隣同士でも多くを共通と考え

ことはありますがまったく同じということはありませ

ん。そこにはおのずとオリジナルのデザインが存在しま

す。そのデザインはそれを使う人、特に施主にとって気持

ちのいいものでなければデザインの意味がありません。

また生産者側にとってもコスト品質を保ちやすいもので

なければこれも意味を成さなくなります。

これは、今欧米で行われているデザインビルトの住宅アレ

ンジ版と考えていいのではないでしょうか。デザインビル

トは単に設計施工一体発注ということではなく、施工性、

コストパフォーマンスを考えて設計していき、そして施工

中の監理、監督も生産手法まで一貫して責任を負うという

ことだと思います。もちろん責任分担をジャッジすること

も責任を負うことになり、これはまさにオープンシステム

の手法そのものではないかと思います。

 

ではデザインとコストがどのように密接な関係にあるか、

検証していきたいと思います。

続く

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年10月 4日 (水)

設計事務所とデザイイン

1、 設計事務所とデザイン

デザインという意味は広辞苑から「生活に必要な製品を

製作するにあたり、その材質・機能・技術・および

美的造形性などの諸要素と、生産・消費面からの各種の

要求を検討する総合的造形計画」、とある。これを建築

(特に住宅)に当てはめると「住宅を建てるにあたり、

それを構成している材料性能・機能・技術・および

美的造形性などの諸要素と、施主と生産者からの各種の

要求を検討する総合的造形計画」となるのではないでしょうか。

現在の建築業界における考え方に建築コストとデザイン性が

相反するもという考え方が主流にあると私自身は感じていますが

あながち間違いではないように思います。

しかし私の考えは違います。

デザインとコストは切っても切り離せない関係にあり、

デザイン性を突き詰めれば当然コストと連動してより

価値の高いものが適正、いやコスト安で作ることが

できると考えています。

生産側の現場からは、デザイン性=コスト高という

考え方が大方の考えですが、決してそうではありません。

私は長年建築の生産側に携わってきました。

そこで行われていたことは、VE(バリューエンジニアリング)

と称してただコストを切り下げるために、

やるべきものをやらない、仕様を変えグレードダウン、

これはほんとうのVEではありません。

VEValue Engineering)とは、製品やサービスの「価値」を、

それが果たすべき「機能」とそのためにかける「コスト」

との関係で把握し、 システム化された手順によって「価値」

の向上をはかる手法です。

VEでは、製品やサービスの果たすべき「機能」をユーザー

の立場からとらえて分析し、その達成手段について様々な

アイデアを出します。 それらのアイデアを組み合わせたり、

さらに発展させた上で評価し、最適な方法を選択します。

これがVEの基本的な考えです。ですからデザイン性を突き

詰めていくと当然VE手法と同様の結果が得られるわけです。

決してデザイン性=コスト高とはならないのです。

もちろん設計事務所側、設計者側の問題も大きいことは

否定できません。コスト意識の無い設計、ユーザーが

求めているコストと、機能そしてデザイン性を整理できない、

技術力不足、設計者は生産者と同等もしくはそれ以上の

技術力が無ければ消費者が求めている要求を実現できないわけです。

設計事務所、設計者の責任は大変重いと思います。

今の建築の教育現場において実務を念頭にしたマネージメント教育は、

ほとんど皆無といってもいいのではないでしょうか。

どうしても建築家として華やかな一面だけがクローズアップしていて、

これから建築を目指そうとしている人たちに実務とあまりに

かけ離れた教育がなされているような気がします。

ですから今生産現場に携わっている建築家は、

実務即した技術力、経験を高め建築が本来持っている

意味を強く世の中にアピールする使命があると思います。

当然消費者にもそのことを広く知らしめていく責務は重いと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

« 2006年3月 | トップページ | 2006年11月 »